(194)本は易しくなければ優しくないー中村仁信『放射線ホルミシスで健康長寿』を読む

「大量の放射線は身体を破壊するが、少量ならむしろ体に良い」ー私が特別顧問的立場で関わっている一般社団法人「日本放射線ホルミシス協会」の主張を一言で表すとこうなる。少量でピンポイント的に局所にあてると、驚くべき結果を招くということはがん治療の分野で外科手術、抗がん剤治療に加えて、第三の手だてとして今や証明されつつある。しかし、一般的には放射線と言えば、怖い危険なものとのイメージはぬぐいがたい。この傾向に大きく竿をさしたのが東北の大震災による福島原発事故である。「羹に懲りてなますを吹く」の例え通り、「原発に懲りて放射線ホルミシスを排除する」流れは覆いがたい▼ただ、それでも根気よく説明し理解を求めればわかってくれる人は少なくない。私の地元姫路市の北部にある富栖の里での洞窟に入って、肌から口から体内に微量の放射線を取り込んで、がんが治り、元気になったとの実例には枚挙にいとまがない。私も現地にしばしば足を運び、洞窟に入る経験をしている。「百聞は一見に如かず」のことわざがリアルに迫って来る。放射線の権威であり、この団体の理事長である中村仁信(大阪大名誉教授)さんが、免疫学の大家・安保徹(新潟大)、生活科学の重鎮・清水教永(大阪府大)の両氏(ともに名誉教授)と一緒に著した『放射線ホルミシスで健康長寿』という本は、分かりやすくその辺りを解きほぐしてくれ、とても有用で役立つ▼数年前に富栖の里で講演をされた時にお会いしていらい、中村さんとは知己を得た。穏やかな風貌の下に秘めた強い放射線への信念はひとの心を射抜いてやまない。実は私は今『放射線ホルミシスって何だ?10問10答』(仮題)という小冊子を作ることに取り組んでおり、原稿を執筆しているところだ。その際に、この本を参考にしているしだい。「易しくないと本は優しくない」というのが”本を読み継いで50年”の我が人生の行きついた結論的モットーである。どんなにいいことが書いてあったとしても難しければ理解できない。易しく書かれてあることは極めて重要なのである。つまり、ひとに優しいのだ▼この本、十分に易しく書いてある。だが、それでも専門家の書いたものはどうしても難しさがつきまとう。私など元来が単純だから、これでもか、これでもかと分かりやすくして欲しいし、自分が書くならそうしたい。放射線ホルミシスをめぐって、その名前の由来から始まり、なぜ誤解が発生してきたのか、身体にいいのはなぜか、そして原発是非論議にいたるまでの放射線本の決定版ガイダンスを書き、できれば電子本にして出すつもりだ。勿論、中村さんに監修してもらって。おかゆのように既に胃の腑に優しいものを、さらに水を加えたとぎ汁風のもののようにしたい。お正月明けから、その作業に取り組んでいる。乞うご期待。(2017・1・10)

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