(131)歯、歯、歯の歯ー河田克之、赤松正雄『ニッポンの歯の常識は?だらけ』

1999年から始めてもう16年にもなる私のブログ『忙中本あり』。初めは「新幹線車中読書録」だったが、今や、新幹線に乗る機会はほとんどないため、専ら「新快速読書録」だ。今回はその歴史の中で初めて自著を取り上げたい。尤も自著といっても対談本だから共著ということになる。姫路に住む歯科医師の河田克之さんと一緒にこのほど出した『ニッポンの歯の常識は?だらけ』である。サブタイトルは長ったらしく、「反逆の歯科医と元厚生労働副大臣、歯の表裏事情に迫る」である。この本、共著といっても実際は河田さんが主役で、私は話の引き出し役。第一部の対談では患者の立場から恥ずかしげもなく訊いた。また第二部のQAでも初歩的な質問を性懲りもなく繰り返した。まぎれもない脇役だ。ただし冒頭の序論には力を込めた。また、あとがきも。ただし、共にユーモアたっぷりを忘れずに▼もともとは電子書籍の一環として作るつもりだった。というのも本を出版するのはコストがかかる。とても貧乏な元政治家にそんなお金は捻出できない。「デジタルファースト」なるNPO法人をわが友・朽木一憲の勧めで彼と一緒に立ち上げたのが国会議員を辞めた直後。彼は元出版社の社員。本を出したくても出せない人のために役立ちたいというのが狙いだった。で、見本としてまずは櫂より始めよで、私が出した。読書録の続編『60の知恵習い』を皮切りに、小中高大の友人たちと対談をしてそれをまとめた。五冊分全部併せると、対談者全員がことし70歳の面々で、『現代古希ン若衆』というタイトルが相応しい。その次の企画として私が考えたのが各分野の専門家との対談だった▼偶々歯槽膿漏に悩む、親友の勧めで読んだ本が『青山繁晴、反逆の名医と「日本の歯」を問う』。そして自らの歯の治療にも河田歯科医院へと赴いた。いらい、一年半ほど。意気投合して電子書籍を出そうというまでに殆ど時間はかからなかった。私の電子書籍第七弾になるはずだった。準備も進めていた。ところが朽木が病に倒れてしまい、電子書籍の出版が難しくなった。そこで方向転換。急きょ紙の本に、ということになったのである。若い人向けに歯科医療について噛んで含めるように、分かりやすくをモットーに語り、話して貰ったつもりだ。私は序論の題を「歯、歯、歯の歯のはなし」にしようと真面目に思っていた。徹底的に歯の大切さを面白く語ってみようと狙った。その通りになってるかどうか。読んでいただいてのお楽しみだ▼河田さんは日本の歯科医療の世界に大げさでなく、革命を起こそうとしている。それが証拠に衆参全国会議員にこの本を贈呈するという挙に出た。およそ100万円かかる。止めましょう。無駄もいいとこだ。国会議員の連中が読むはずがない。封筒を開いて表紙を見たらそのままゴミ捨て場に直行する、って私は主張した。しかし、それでもいいと彼は言う。せめてタイトルを見てくれたら、こんな歯科医が存在すると頭の片隅においてくれたら、本望だ、と。その熱意に負けた。その費用は全額彼が出してくれるとはいえ、勿体ないとの思いは私のような貧乏性の人間には消えない。そこで、議員諸氏が読んでくれるように、私はある仕掛けをすることにした。その結果がどう出るか。何れの日かの続報を楽しみにしてもらいたい。(2015・10・30)

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