【156】12月の読書日記①━━高嶋哲夫『ダーティー・ユー』と『チェーン・ディザスターズ』

 今年2024年もあとわずかになりました。この『忙中本あり』も、新たな年に向けて装いを新たにすべく、残された日々を使って少し試運転をしてみます。まずは、週刊読書録風にまとめるバージョンからです。ともかく短くまとめることに執心してみました。

●怒りと共感で心奪われる「いじめ問題」━━『ダーティー・ユー』

 12月に入って、10日あまりの間(12-1/〜12)に、高嶋哲夫の本を2冊読みました。『ダーティー・ユー』(2000年発刊)と『チェーン・ディザスターズ』(2024年発刊)の2冊です。前者は、アメリカからの「帰国少年」(雄一郎・通称ユー=中学2年生)が、いじめにあう級友を見て、いじめる相手と徹頭徹尾戦う話。彼はアメリカにいた頃ダーティー・ユー(汚いユー)と呼ばれていじめられた経験がある筋金入りのファイター。この本の読みどころは「日米教育現場比較」であり、いじめ対応の「戦う作法比較」でもあります。いじめについては、宮部みゆきの『ソロモンの偽証』が今まで最も熱中して読んだ本ですが、こっちの方が新鮮味があって面白く感じました。とくに、終わり近くで、担任の教師とユーが酒のワンカップと缶ビールでイカくんをかじりながら、公園で2人がいじめについて語り合う場面は秀逸です。高嶋は、この本をベースにして映画を作成して、全国の学校で上映しようといま計画中と言います。私も応援依頼を受けております。この15日には神戸で講演会もあるとのこと。聞きに行ってきます。

●日本を襲う巨大災害の連鎖に立ち向かう女性首相━━『チェーン・ディザスターズ』

 『チェーン・ディザスターズ』は、つい先日に発刊されたばかり。巨大災害が連続して日本を襲うというストーリー。南海トラフ、首都直下型地震、台風による豪雨、富士山噴火による火山灰の首都圏直撃。いずれも凄まじいまでの被害をもたらすものばかりですが、それが半年ほどの間に連鎖するとの筋立て。この危機の中で、政府は機能麻痺状態に陥りますが、若い女性首相が偶然にも災害担当相から抜擢され就任します。この新首相が民間人の起業家と組んで八面六臂の活躍をするところが見ものです。著者は、これまで数多くの災害危機を描く小説を世に問うてきましたが、まさにその総集編とも言うべきもので、その主人公が女性政治家という着眼がポイントです。実はこの本の末尾近くに、ちょっとした私に関係する〝遊び的仕掛け〟が施されており、笑えます。(探してください。簡単にみつかります)。首都機能を東京から岐阜に移すところで終わっており、少々尻切れ感が拭えません。著者によると、続編を書くとのことです。その仕掛けが施された人物が活躍すると言うので、大いに期待したいと思っています。

 以上の2冊は、私の友人である高嶋哲夫の著作ゆえ、裏話が直接聞けました。(敬称略  2024-12-12)

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